「福田さんはもう少し言葉づかいを改めたほうがいいです」



いつものファミレスで蒼樹嬢が俺に視線を合わせて言った。
黙っていれば相当の美人なのに口を開くと俺を否定する言葉ばかり。どうにかならないのかその口は。嫌いなタイプと断言できるほどの感情しか持ち合わせていなかった。

つい最近までは。

そう、そんな彼女に対する感情が最近少しずつ変わってきていた。話す機会が増えるにつれて、彼女は自分に対して少し素直じゃないだけだということがわかったのだ。
それが、自分にだけの態度なのかは定かではないが。

「うるせえ。いまさら言葉遣いがどーのこーのなんて知らねえよ」

「それに漫画も、もう少し少年向けに書くべきです。表現があからさま過ぎます」

どうしたことか、今日の彼女はやけに突っかかった物言いをする。最近はいささかその物言いに柔らかさが出てきていたというのに。

「なんだぁ?蒼樹嬢、なんか嫌なことでもあったのか?」

「どういう意味ですか?」

「なんか、俺に八つ当たりしてねぇか?」

「っそんなことありません!!以前から申してたことを福田さんが全然改善してくれないからっ」

動揺を見せながら彼女が答えた。
はぁ〜ん。こりゃ間違いなく八当たりだな。まいったぜ。やれやれと思いながらも、それを許してしまう自分を苦々しく思う。その理由は考えるまでもない。認めたくもないが。

「まぁ、別にいいけどな。」

「だから!別に八当たりなんかじゃありません!!」

必死に言い訳(に俺は見える)をする彼女を見て自然と顔が緩みそうになるのを寸でのところでこらえて言った。

「あーはいはいわかりました。でも、俺はこの言葉づかいも作風も変えるつもりはないからな」



むぅっと少しふくれた彼女を見て、今度こそ顔の緩みを抑えることができなかった。そろそろ認めてやってもいいかな。











(一つだけなら妥協する)



そう、あんたが好きだということだけ。



END




初バクマンSS。八当たられても福田氏は蒼樹嬢が好き。